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朗読音楽劇
『ACCA13区監察課』–Piece of Mind-
オフィシャルレポート

去る8月6日、東京・なかのZERO大ホールにて、朗読音楽劇『ACCA13区監察課』–Piece of Mind-が開催されました。

朗読劇の幕開けは、ビッラの雪降る森の中。ジーン役の下野紘さんとニーノ役の津田健次郎さんが登場し、監視者の正体を知ったジーンと親友ニーノのシーンがプロローグとして語られます。そこからアニメさながらのオープニングに突入し、ONE Ⅲ NOTESが圧倒的なパフォーマンスで「Shadow and Truth」を披露。バックにはオープニング映像も流れ、TVで観ていたものが生で堪能できるという快感に誰もが酔いしれました。

序盤で描かれたのは、ジーンとニーノ、ロッタの関係性が伝わる平和なやりとり。そして、ニーノのナレーションによって、ジーンを取り巻くクーデターの動きと王族との関わりが語られていきます。結城アイラさんが登場し、アニメ第8話の劇中歌「It’s my life」を歌うと、そこから時間は遡り、場面はジーンとニーノの学生時代へ。幼いロッタを交えた微笑ましい日常が、オリジナルのエピソードとして描かれました。哀しい出来事も含む第8話を思い起こさせるこのパートは、再び登場した結城アイラさん の「ペールムーンがゆれてる」で、しっとりと締めくくられました。

場面変わって、ステージに登場したのはACCA5長官の面々。グロッシュラー役・諏訪部順一さん、リーリウム役・遊佐浩二さん、その後方にスペード役・大川透さん、パスティス役・緑川光さん、パイン役・安元洋貴さんが並び、様々な思惑が絡む5人のやりとりが語られていきます。合間に挟み込まれるオリジナル部分は、原作コミック番外編『ACCA13区監察課 P.S.』で描かれた、5長官が初めて顔を合わせたバードンの空港と就任式典でのエピソード。新たに書き下ろされた5人のセリフにそれぞれの素顔が垣間見え、長官たちの個性がより際立つ内容となりました。

グロッシュラーとリーリウムの第9話での“名シーン”も見事に再現され、ACCAによるクーデター計画が進むなか、場面はクライマックスとなるACCA100周年記念式典の会場へ……。ここからはジーンも加わり、リーリウムとの緊張感あふれるやりとりを経て、物語は結末を迎えます。ラストを飾るのは、ONE Ⅲ NOTESが歌う第12話のエンディング曲「Our Place」。アニメと同じ流れを追いつつ、随所にオリジナルシーンを含んだ朗読音楽劇は、こうして幕を閉じました。

カーテンコールの拍手の後、キャスト一同が再び登場し、今回の公演への思いを語りました。それぞれが口にしていたのは、朗読中もその背後で高橋諒さん率いるバンドが演奏していた音楽の素晴らしさと、そこから伝わってくる「芝居も負けていられない」というプレッシャー。ベテラン揃いのキャスト陣にとっても、今回のようなスタイルの公演は珍しく、それ故の苦心と感動があったようです。唯一の女性キャストであるロッタ役の悠木碧さんからは、楽屋での“かわいいおじさん”たちの様子を報告するという1コマも。また、下野さんをはじめとする誰もが、今回で『ACCA』のキャラクターを演じる機会が一区切りとなることを惜しみ、作品愛をにじませていたことも印象的なコーナーとなりました。

アニメ全12話で主人公・ジーンが辿ってきた道を再構築し、オリジナルエピソードを加えた今回のステージ。男たちの“粋”様を描いたドラマは、キャスト陣の熱演とミュージシャンたちの生演奏により鮮やかなライブパフォーマンス作品として生まれ変わり、もうひとつの『ACCA13区監察課』の世界を創り出しました。

文:株田 馨